1.北海道積丹町「積丹町の取り組む事業内容について」
1.1 JTの森積丹事業
・2005年から始まった「JTの森」づくり。全国で9ヶ所。
「JTの森積丹~海を育む水源の森に~」をビジョンに掲げている積丹町は、9番目の「JTの森」として、2010年12月にスタートした。
ちなみに湯前町は、積丹町の1年前にスタートし、「JTの森ゆのまえ~多様な生物と共生できる 豊かな森を目指して~」をビジョンに掲げ活動している。
・国定公園に指定される美しい海と景観、特産のウニなどで知られる漁業と農業と観光業の町。
・活動の対象となるエリアは、美国川、積丹川、余別川の3つの流域に位置し、川や海とのつながりの深い森林。
木材価格の不振や担い手の不足などにより、整備が滞っている。
・近年は沿岸の海藻類が減少しており、森林そのものの課題だけではなく流域への影響も懸念されている。
長いスパンで改善を図っていかなければならない。
・JTの森 積丹活動では、カラマツ林の除間伐や混交林化のほか、薪炭に利用した伐採跡などに成立した二次林の保育などに取り組まれている。
また、森の継続的な維持のため、本事業を通じて町内の森づくりの担い手となる人材育成にもつなげていく。
・10年間の活動では、地域の方々や関係団体と連携し、森が豊かさを取り戻し、川と海を含む流域の生物にも恵みをもたらす「海を育む水源の森づくり」を目指す。
1.2 B&G地域コミュニティ再生モデル事業
・B&G財団では、平成27年度から「海洋センターを活用した地域コミュニティの再生事業」に取り組むことになった。
全国392あるB&G海洋センター所在市町村の中から、2ヶ所のモデル自治体に選ばれたのが、積丹町と湯前町。
・いずれの町もアンケート形式で調査を行い、18歳以上の全住民に実施(積丹町約2,100人、湯前町約3,600人)し、8月に集計が完了。
現在、アンケート結果の分析中。
アンケート内容は、住民の生活・健康状態、余暇時間、運動の実施状況から、地域活動への参加状況や意向、町の住みやすさ、近所づきあいや相談相手の有無まで、多岐に渡っている。
・積丹町の高齢化率は43%で湯前町の高齢化率は38%と、いずれの町も高齢化が進行中。
今回の調査で、両町における一人暮らし高齢者のコミュニティ参加状況などが明らかになると考えられる。
・調査と併行して7月からはB&G海洋センターのミーティングルーム改修や必要器材の購入が始まり、順次、各種事業・イベントなどが企画されていく。
2.北海道芦別市「芦別市の取り組む事業内容について」
2.1 木質バイオマスボイラー事業
◆目的
・芦別市は市域の約88%が森林。
地域特性を活かした木質バイオマスの有効利用を図る。
林地残材などを活用したチップ燃料を製造し、従来の化石燃料にかわる地域内の森林資源の活用による地域内経済循環、森林整備の促進及び二酸化炭素排出量の削減などを目的とする。
◆事業概要
・芦別市は、平成21年度に地域新エネルギービジョンを策定し、その中でも特に有効利用が図られるとされた「木質バイオマス」の取組を推進。
・平成22年度に総務省の「緑の分権改革」推進事業の採択を受け、実証調査を実施。
調査の結果、林地残材の賦存量は4,396t/年と推計された。
このうち87%が国・道有林であることから、国・道有林との連携や林地残材収集コスト削減などが課題となったものの、林地残材などを活用したチップ燃料化に向けて事業を推進している。
・チップ燃料を活用する施設は、市有施設である「健民センター」(温泉・宿泊施設など、第三セクターで運営)であり、チップボイラー導入工事を平成25年度から事業着手し、平成26年3月に本稼働を開始。
・チップ燃料の製造は、地元の素材生産業者、製材業者及び建設業者など、6社で構成する「芦別木質バイオマス開発協同組合」が行う。
現在は、健民センターに導入するチップボイラーの稼働にあわせて、林地残材などの収集作業を進めている。
・チップボイラーを導入する健民センターでは、年間約5,700万円の化石燃料(重油)を消費。この金額のほとんどが地域外に流出しており、地域内の森林資源を活用したチップ燃料の製造を行うことで、地域内での経済循環を図る。
・総事業費 約3.1億円、年間の経費削減効果 約800万円。
※総事業費を約40年で回収。
・チップボイラーの課題は耐用年数(30年~40年)による設備更新。
・チップボイラーの導入は、温泉・宿泊施設であり、夏場と冬場の熱需要に大きな差があることから、2台(900kW+700kW)を導入している。
2.2 空き家対策関連事業
・ホームページ上で、空き家・空き地情報バンクを開設。
http://www.city.ashibetsu.hokkaido.jp/kikaku/kikaku/akiyaakichijouhou.html
・UIターンによって市内に移住し、市内事業所へ就職した方に対して30万円の地域限定商品券を交付。
・住宅支援
<新築の住宅>
市内建設業者が建設した住宅1戸につき100万円
地元産の木材を使用した場合、次の額を加算します。
1 地元産木材の使用量が10立米以上20立米未満の場合 30万円
2 地元産木材の使用量が20立米以上の場合 40万円
<中古住宅>
土地及び建物の取得に要した費用の100分の10以内の額で、上限50万円
3.北海道富良野市、美瑛町「直売所及び景観整備について」
3.1 物産直売所の状況
◆フラノマルシェ【富良野市】
・フラノマルシェとは富良野市中心市街地活性化基本計画のコンセプト「ルーバン・フラノ」構想にもとづいて計画された活性化施設の名称。
・フラノマルシェは3棟からなり、ファーマーズマーケット オガール、スイーツカフェ サボール、富良野物産センター アルジャン、 テイクアウトショップ フラディッシュの4つのゾーンがある。
・タウン情報センター・インフォメーションフラノも併設。
ここマルシェから”富良野を知る”、まちの情報発信基地となっている。
◆想い出のふらの【富良野市】
・団体様用レストラン800席と、一般様用レストラン200席で、エリア最大規模の観光ドライブイン。
・食事に出される人気商品と土産品、そして「かみふらの八景」が広がる雄大なロケーションをミックスした物産館。
3.2 美しい村づくり連合での景観整備
・農業と観光の連携・発展 → 農業振興=観光収入とのリンク
・農村景観の活用・保全に注力されている。
・「日本で最も美しい村づくり」というビジョンがある。
・建物の景観整備
土地区画整理事業 → 市街地本通商店街の再編
建築協定によるデザインの統一など
・「日本で最も美しい村」連合
NPO法人「日本で最も美しい村」連合(商標登録済)が運営。
通称、美しい村連合は、2005年に7つの町村からスタートした。
近隣村では、球磨村と椎葉村が加盟。
◆「四季彩の丘」「パッチワークの路」など見事な美瑛の景観【美瑛町】
・美瑛の畑は、約1万2,000ヘクタール。
・人口1万人足らずの美瑛町には年間150万人の観光客が訪れる。
・「美瑛は観光地として有名な富良野と、北海道で2番目に大きな都市である旭川に挟まれたいわゆる「通過型」の町。
・世界が認める「北海道産」の圧倒的なブランド力 がある。
・美瑛町が農産物の海外輸出に成功した理由
政府は「農林水産物=食品」の輸出額を2020年までに1兆円水準にするという目標を定めている。
世界の”食”市場は拡大を続けていて、その年には680兆円に達すると言われており、そこになんとか食い込みたいという狙いがある。
・美瑛は独自のブランド化に成功した地方である。国内でも美瑛の農産物は、北海道産ではなく美瑛産として売られていることが多いが、海外でもそれは同じだという。
・「展望花畑 四季彩の丘」は、展望が素晴らしい「丘のまち びえい」に15ヘクタールもの広さを有している。
春から秋までの花の季節に、数十種類の草花が咲き乱れる、花の楽園。
トラクターを観光トロッコ列車に活用されている。
・パッチワークの路は、美瑛の丘陵地帯を走る道。
この道の両側には広大な農地がさえぎる物なく広がり、花々や作物がまるでパッチワークのような模様をしている。
【研修全体の感想(まとめ)】
・積丹町、芦別市の市長、議長や職員・議員からから格別のおもてなしを受けた。
まちづくりを共感できる自治体との連携は、住民福祉の付加価値を高めるために、今後も継続して取り組んでいかなければならないと感じた。
☆湯前町は、「JTの森(全国9ヶ所)」や「B&G新規事業(全国2ヶ所)」「木質チップ」など、しっかり取り組んでいることを改めて認識しました。
・海外の観光客が多い自治体には、必ず目玉となる観光地やブランド商品がある。
北海道の直売所は、観光と販売をうまく連動しており、単なる売場ではない。
まさに観光ブランディングのためのスペースである。
湯前町においても、観光と直売所を連動させ、地域経済を豊かにしなければならない。