議員研修 人口減少時代の自治体議会

演題:人口減少時代の自治体議会
講師:東京大学大学院法学政治学研究科教授 金井利之 氏
場所:益城町文化会館

1.時代の変動

・社会が変動し、何らかの変革が求められるようになった。
 高度成長期までは、田舎・地方育ちの政治家が政策立案していた。
 現状は、選挙区が地方にあっても東京生まれ・東京育ちの政治家が多い。
 未だ新機軸を打ち出すには至っていない。
・少子化、高齢化、多国籍化、人口減少など人口動態の変化。
・単身世帯、片親世帯、子ども無し世帯、独居老人、老夫婦世帯など家族形態の変化。
 行政サービスは、家族形態の多様化で接続困難になっている。
・非婚、離婚、再婚、同性婚など結婚の多様化。
・空き家の増加。
・人口減少社会による構造的縮小 → デフレ化
 過疎は50年前からある。
 行政の支出を減らす→職員を減らす→消費が減る→自らの行財政改革がデフレスパイラルを招いている。市町村合併や道州制は地方衰退を招く。
・子育て世代の減少。
 大都市圏で子育てできない社会を作ったことが、人口減少の本当の問題。

2.新たな方向性の模索

・現状の地方創生は、枠組みが古い。
 脆弱なのは地方ではなく、実は大都市圏。
 大都市圏から地方へ人口を移す再分配は、40年前の対策であり有効でなかった。
 実際に人口は増えておらず、経済規模が下がりデフレになった。
 地方の少子化問題を経済活性化にすり替えている。
・少子化対策は、人口を増やすか、人口減少に耐えうる社会をつくること。
・近年は、物づくりよりサービス提供が増えている。
 物は輸出できるが、サービスは難しい。
・自治体・議会の役割は、地域住民ニーズに根ざして、地域包括ケアシステムの基盤を形成すること。
・「地方重視」が、国家行政の責任放棄による転嫁であってはならない。
・「地方創生」が「土建国家」「共生社会」「富国強兵」のいずれに向かうかは、非常に重要な問題。金井氏は「共生社会」を推奨している。
・社会福祉こそ住民ニーズ?!
・人口減少は、ゴミ量の削減など今まで解決できなかった諸問題が解決できるメリットもある。
・家族形態は多様化しており、行政としては何をどうすれば公平なのか分からない。
・分権社会で溝板(どぶいた)政治を目指すべき。

3.地方圏町村型地域包括ケアシステム

・自治体ごとの地域特性に応じた自主的取組の重要性。
・個々人を全体的・包括的に切れ目なく支援することは行政型では困難。
・議員は、個人で競争的に活動すべき(議会としての集団一致活動は二義的)
 民主的正統性・公選職であるため、地域住民の総合相談の担い手たるべき。
・町村議会とは「地域包括ケア担当者会議」である。
・市町村合併、議員定数削減、議員不信などで、成り手不足を招いている。
 自治体議員の成り手不足をいかに払拭するかが課題
・地域で生活すること自体が、議員的活動を求められている。
 議員の住民あたりの人数が多い地方ほどプレゼンスが高い。
 しかし、議員に問題解決を依頼する経験・慣行が住民間で未成熟である。

議員研修 人口減少時代の自治体議会
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