道州制 in 平成25年度球磨郡町村議会議員研修会

研修概要

①熊本県総務部政策審議監
・講師 木村 敬 先生
・演題 「道州制と市町村の関係について」
②山梨学院大学法学部教授
・講師 江藤 俊昭 先生
・演題 「道州制の動向と市町村の役割~新たな住民自治の動向を踏まえて」

感想

湯前町として「市町村合併・道州制は本当に必要か?」を今から考え、準備しておく必要がある。合併しなくても自立していける強い町づくりを目指すために、いい意味で執行部を誘導し、執行部が気づかないところを指摘し、執行部がなまけるところにムチを打てるような優れた議員になることが求められる。
あさぎり町の合併については、個人的にもしっかりと検証してみたい。要は行政目線ではなく、住民サービスの向上につながっているかが一番の視点と考える。

研修内容

①-1 「道州制」に対する蒲島知事の考え方

松下幸之助の道州制論は、都道府県を完全に否定している訳ではない。
国家経営のあり方として、資源を集中して道州制にしたほうが、経済の活性化に好ましいだろうというところから入ってきている。

知事は、経済を非常に重要視している。熊本が生き残っていく・食べていけることを考えるときに、経済の発展のためには県どうしが道州単位でやったほうが、国民幸福量は最大化するのではないかという意志がある。

霞ヶ関・中央集権の国家に対する反発もある。
農地の中間管理機構など、いちいち国に法律を通してもらわなくても県・道州単位でできるのではないか。

知事は、国際派としての見識がある。海外から見た場合、熊本というブランドでは弱い。オール九州でやったほうがよいという想いがある。

知事は福岡一極集中への対向意識がある。
なんでも福岡に集中させると熊本の将来によくないため、あえて州都に名乗りをあげるという前向きな考えである。

知事はできないことを言わない。しかしなぜか道州制については言っている。
くまモンで1千億稼ぐと言って、本当に実現している。

道州制になろうがなるまいが、熊本県として今から準備しておかなければならないという発想である。
知事は道州制推進派であるが、全部が全部うまくいくとは限らない。
人吉球磨に道州制を導入する場合、どうシミュレートしておくかが大事。

①-2 「市町村合併」に対する熊本県民の感想

あさぎり町などの市町村合併をしっかり理解した上で、道州制に向き合わなければならない。交付税算定替えで、交付税が3割減ったらやってられない。住民にとって、どういったメリット・デメリットがあったのかはほとんど知られていない。

熊本市が政令市になって、何のメリットがあったのか誰も分からない。職員の実力以上にものが進まない。

合併しないと地域が寂れるのかというとそうでもない。あさぎり町も合併後に人口が減少している。各自治体は、市町村合併が本当に必要なのかをしっかりと準備・検証しなければならない。住民福祉の向上が、合併ではなく他の方法がないのか検討しなければならない。

住民から見て価値の高い住民サービスが提供できるような自立した自治体になってほしい。自立していれば、合併する必要はない。

雇用問題は、行政単位でなく広域・県単位の連携で考えたほうがよい。企業誘致は、市町村単位でやることではない。今町村に求められるのは、地域にある資源を最大限に活かせるよう産業につながる人を育てること。例えば、人吉温泉観光協会や広域行政組合でやっているような人吉球磨が一体となった取組が必要。
観光も町や村がやることではない。観光ガイドをやる人を育てるなど、地域の素材を磨くことが地域の仕事ではないか。

市町村の合併をしたところ・合併をしなかったところにおける10年間の検証が必要。
道州制はいったい何のためにやるのかについて、平成26年度は各市町村で考えてほしい。

①-3 そもそも、何故「道州制」なのか

PHP研究所の江口克彦氏は、一つの視点として道州制は究極の行政改革であると話されていた。道州制にすれば、国・県・市町村を混ぜ混ぜにして2割くらいの公務員が減らせる。公務員数を削減する方法ではなく、姫島村のように公務員給料を2割削減すればよいのでは?という考えもある。公務員の給料は、民間に比べて高いと思う。
公務員の人件費を削減し、小さい政府をつくるための道州制は反対である。

PHP研究所の江口氏は、地域主権のための道州制と言っている。
自治体に決定権を渡し、個性的ある地域づくり・政策を行うことは同感である。
ただし、州ごとに税率を変えるのは、日本国民が納得しない。
アメリカ、オランダ、フランスなど民族や宗教が違う点は、日本と違う。

①-4 人吉・球磨にとっての「道州制」とは

熊本県に拘らないスタイルはおもしろい。
クマレイは、熊本・宮崎からバリバリ野菜を買っている。JAがスピンアウトして独立した。クマレイは、人吉球磨のあるべき姿として高く評価している。
人吉球磨に南九州の物があつまってくるのを利用している。

球磨の黒豚は、ブランドを作って鹿児島を商圏にしつつ球磨のブランド化に取り組んでいる。球磨の周りの鹿児島や宮崎をいかに組み込めるかを考えたほうがよい。
人吉球磨はおもしろい。

人吉球磨がひとつになる=地域合併することではない。
人吉市も混ぜてあげて、広域連携・定住自立圏を考えてほしい。

医療・教育(高校再編)・人口減少など地域の足元を見ることも大事。
例えば限界集落を維持するのか、コンパクトシティを目指すのか、町村の体力の中で住民福祉の向上を考えなければならない。
町村が自立していくために、みんなが寄り合って生活できるような福祉を中心にした町づくりを考えなければならない。

①-5 おわりに

議会の優れた自治体ほど、パフォーマンスは高い。
議会がいい意味で執行部を誘導し、執行部が気づかないところを指摘し、執行部がなまけるところにムチを打つような双方向の関係がよい。住民からみて、この町村に住んで良かったなと思える自治体をつくらなければならない。
議員は意識を高く持って、町村長や職員を押さえていくような気持ちで、議会活動にあたってほしい。住民からどんどん声を拾って、執行部にぶつけてほしい。

住民の意識改革をしないとその町はよくならない。
自立した住民が支える、自立した自治体をつくらなければならない。
道州制の議論を、町村の質の向上につなげてほしい。

②-1 道州制の動向

いろんな人がいろんなことを言っている。
道州制は、(財)松下政経塾も基本的に賛成している。安倍首相は、道州制について多くを語っていないが、次の通常国会で出されるのではないか?
(1) 2007年 道州制ビジョン懇談会
(2) 2008年 中間報告(2018年までに道州制移行)
  とにかく報告内容がひどかった。
(3) 最終報告はなく、政権交代により終焉
(4) 2012年 総選挙での選挙公約(自民、公明、みんな、維新)
(5) 2013年 道州制推進基本法

②-2 道州制推進の理論

政治の論理からいうと、道州制推進基本法は通る。
経済の理論がかなり強い。なぜ経済の論理だけで動くのか、なぜ今なのか?

道州制は三層構成(国、道州、基礎自治体)
基礎自治体は、法律用語にもない。都道府県がなくなり、市町村は名称を含めて検討する。国民会議を設置し、3年以内に答申する。その後速やかに法整備を行う。

②-3 道州制の論点

そもそも何が目的か?
道州間、道州内の格差をどのように是正するのか?
東京一極集中のまま道州制を導入すると、道州間格差が広がる。

地域完結型の地方公共団体が基礎自治体である。=自立できる自治体
人口20万人ぐらい(現行101自治体)という議論が出てくる。

江口氏は、地域主権型道州制国民協議会の会長であり、主権型を提唱している。アメリカのように連邦制にするなら主権型になるが、日本国憲法は連邦制をイ

メージしていない。日本国憲法を変えるなら主権型もできるが基本的に無理。
言葉の遊びは止めたほうがいい。

地方分権について、中央省庁は反対している。
議会の議決も住人投票も通していない。国の政策・法律だけで進んでいる。
都道府県を一遍の法律で廃止することは、地方自治の否定につながる。
市町村合併のさらなる推進となり、地域コミュニティーがどんどん衰退する。
議員数に対して人口が多すぎると民主主義が働かない。リコール制度は死文化する。

②-4 着実な自治体改革

議員数は、平成の大合併で6万人から3万人に減った。
議員数の減少は民主主義の危機である。すごく問題である。
住民自治の根幹である議会を活性化しなければならない。

議会で改革を進めながら、自治体間やNPOとの連携を積極的に提案できる議会であれば住民から信頼されるようになるのではないか。
自治体間の連携 → 球磨郡だけではなく、それを超えた連携も必要になってくる。

球磨郡町村議会議員研修会
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